なぜ宝物ファイルを使うのか
まず初めに、なぜこの宝物ファイルを使うのかという理由をしっかりとご説明しましょう。
それは、何よりも自分を好きになってほしいから。
「このクラスのみんな一人ひとりに必ずいいところがあります。大人になってもそれを自分で認めてずっと自分のことを大好きでいてほしいのです。だから、この宝物ファイルを作って、自分のことを大好きになりましょう!」
と言ってコピー用紙を配り、次の言葉を書かせます。これは「宝物ファイル」がもたらす効果、つまり最終的な目標となります。

最初にどうやって自分を好きになっていくのか、そのプロセスを挙げてみます。
自分のいいところを見つけよう

- 自分の写真を撮って貼り、夢や願いを書く
- 自分の宝物や作品、がんばったことなどを入れる
- 自分のいいところを書く
- ファイルに好きな名前を付けて表紙を作る
自分が好きになってきた、自分の長所が見えてきたら、他人のいいところを見つける練習をします。
他人のいいところを見つけよう
- 友達のいいところを書いて渡す
- 教師が児童たちのいいところを書いて渡す
- 保護者に児童たちのいいところを書いてもらう
- 児童が家族のいいところを書いて渡す
さあ、ファイルが自分の書いたいいところ、他人の書いたいいところでいっぱいになってきました。
ファイルを見せあってコミュニケーションしよう

- 児童がお互いの宝物ファイルを見せ合う
- 保護者会の個人懇談で保護者と一緒に見ながら話す
- 教育相談の時間に、児童と教師が一緒に見ながら話す
ここまできたら、あなたはすっかり自分が好きになり、自信に満ちた見違える姿に変わっていることでしょう。
成長の軌跡が一冊の宝物に
- 宝物ファイルを見ながら自分の成長したところを見つける
- 6年生では自分の成長したところをまとめ、下級生へのメッセージとして伝える
お便りで紹介したら保護者全員から言葉が返ってきた
このようにして行ってきた宝物ファイルですが、最初の頃は試行錯誤の連続でした。
とにかく「やる」と決めて、ファイルは買ったものの、保護者のみなさんにどういうふうに説明しようか悩みました。
全く知らないものをどのように説明したら分かっていただけるか、協力していただけるか…。かなり悩みました。B4一枚のお便りを書くのに5時間以上もかかったことを覚えています。
「最後に、ご意見があればお願いします。」という文章をつけて、ご意見を書いてもらう欄を設けました。すると、びっくりすることに、24人全員の保護者からお返事がありました。
「賛成します!」「すばらしいことだと思います。」などの意見が寄せられました。中には「嫁に行く時持たせたい。」と書いてくださった方もいました。あまりにもうれしかったので、その文章は私の宝物ファイルの中に大切に入れて保管してあります。
つまずいたり凹んだりした時に何度も読み返しては自分を奮い立たせてきました。温かい言葉を書いてくださったことに今でも大変感謝しています。
先日何を思ったのか、ロングだった髪をバッサリとショートヘアにしました。30cm以上は切りました。こんなに短くするのは高校生以来、35年ぶり(年齢バレバレだ〜)です。
気になる子どもたちの反応は…。まず廊下で女子に会いました。「キャーッ!!先生髪切ったーーーっ!!」教室にいた男子は、しばし口をあんぐりと開けて言葉無し…。
その後、やんちゃ坊主が叫びました。
「先生、カツラですかぁ〜?」