心と体はつながっている

体内に取り込んだ栄養素を材料に、さまざまな物質を作ったり、いらない物質を排出したりする機能を「代謝機能」といいます。健康を維持するのに不可欠なこの機能、実は冷えにとても敏感。たとえば体温が1℃下がると、代謝機能は12〜20%も低下するといわれています。
代謝機能の減退は、神経の働きを促す神経伝達物質を充分に作れなくなる状況も生み出し、仕事への意欲やストレス耐性を極端に落とす一因にも。さらに「緊張」と「リラックス」のスイッチの役割を果たす自律神経もにぶくなり、常に体に緊張を強いる状態を作り出します。こうなってしまうと、リラックスしたいオフタイムにもこわばった体がそれを許さず、どうにも落ち着かない気持ちが心に霧をかけてしまうのです。
暑い夏を過ごしている私たちには無縁の話のようですが、よく考えてみると現代人が送っている夏の生活は、実は冷えの連続です。最近では節電対策を講じているとはいえ、クーラーが効いた職場で一日中働き、車や電車の移動中もクーラーがかかっています。オフタイムには冷たいビールやジュースをごくごくと喉に流し込むなど、暑い夏を快適に過ごそうと、あの手この手で体を冷やそうとする結果、実は大半の人が体を冷やしすぎる毎日を送っているといわれています。
冷えを防いでリラックス
「体が冷えると、心も冷える」。そんな習慣を断ち切るために、まずは体を冷やしすぎないようにして、心身ともにリラックスした状態を作り出していきたいものです。
たとえば「夕方になったらクーラーを消して扇風機で涼む」「飲み物に氷を入れない」という簡単なところからはじめてみても良いと思います。また運動で体を温めることも、冷えに大変効果があります。ヨガやウォーキングのほか、夏場は水泳も良いでしょう。「水泳は冷えるのでは?」と思うかもしれませんが、体を動かすことで体が芯から温まるので、大変効果的です。
汗っかきでも体が冷えているケースがある
「自分は汗っかきの暑がりだから心配ない」と考えている方も、自覚しないうちに冷えにさらされている場合があります。
実は顔から大量に汗をかく人は、血液が頭部に集まりすぎている場合が多く、結果として内蔵や下半身に十分な血液が供給されず、冷えている可能性があります。
また、暑い時もほとんど汗をかかないという方はさらに注意が必要です。暑いと感じているのに、自律神経の乱れによって、汗を出す汗せんが機能しなくなっている状態と考えられますので、積極的に自律神経を整える習慣を心がけたいものです。

夏場でも快適に体を温められる4つのポイント
運動のある毎日を
手軽なウォーキングやヨガをはじめ、スイミングもオススメです。時間のない人は、エレベーターなどの使用を控えることから始めてみましょう。
冷たいものを控える
とくにあまり噛まずに食べてしまいがちな麺類は要注意です。「そうめん」なら「にゅうめん」を、「ざるそば」なら「かけそば」をチョイスしたいところです。
湯船につかる

シャワーでは、体は温まりません。湯船に浸かって体を温めながら、ゆっくりとバスタイムを楽しみたいものです。
よく寝る
うまく寝付けない時は、アロマオイルで睡眠を誘っても良いですし、夏場は涼感シーツを用意するなどして、快適な睡眠環境を整えるのもオススメです。
監修:東京女子医科大学附属 青山自然医療研究所クリニック所長 川嶋 朗 先生